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川澄さんのアンコールワット旅日記 −3

「オーイ、朝飯にイクゾーッ」という声に目を覚ます。
まだモーニングコールも鳴っていないじゃないか!

隣の部屋のYさんとTさんは、ニワ鳥も迷惑するくらいの早起き。
迷惑なのはニワ鳥だけじゃない。
我々も睡眠不足にされてしまいそうで迷惑なのだ。
でもYさんの歯ギシリとTさんのイビキに悩まされなくて済むと思えば
この程度の迷惑ならまあいいか。

12月28日。今日はアンコールトムと周辺の遺跡めぐりをする。
フィルム確認と充電はバッテリー(バッチリ)。
この程度の駄じゃれではFさんに笑われる。

アンコールトムというのは手をたたいて、トムにもう一度来て
欲しいと言うことではない。
前の日記にも書いた様に、アンコールトムというのは12〜13世紀に
かけて建築された、総延長12kmにもおよぶ環濠と、8mの高さの城壁に
囲まれた都市跡である。
内部の中央にはバイヨン寺院をはじめ、王宮、パプーオン、ライ王のテラス
像のテラス、など等の見所がいっぱいある。特にバイヨン寺院は穏やかな
微笑みをたたえた観世音菩薩のモチーフが有名で、その巨大な四面像は
異様な迫力と共に仏教的な雰囲気があり、私たちの心を和ませてくれた。
アンコールワットと同様に回廊に囲まれていたが、特に第一回廊に
彫られたレリーフは、日常的な庶民生活や貴族の暮らし、チャンバ軍との
戦闘の様子などが、生き生きと描かれており注目に値する。
ここはアンコールワットとは違い、午前中に訪れる方が太陽の関係で
写真を写すにも良い。

次に訪れた場所はタ・プロムである。
ここは12世紀に建てられた仏教寺院で、発見当時そのままの状態で
保存されているとのこと。
建造物のあちらこちらが、巨大なカジュマルの木々に押しつぶされながらも
辛うじて寺院の体裁を保っている。
熱帯の自然の脅威を、いやというほど感じさせられた遺跡であった。

遺跡群の周りにはレストランが無いので、昼食は毎回シェムリアップ市街まで
戻ることになる。
名前は忘れたが小ぎれいなレストランで食事をした後、カンボジアの習慣の
昼寝をして、14時半から午後の観光ロリュオス遺跡群を巡ることになる。
熱い日差しの中を歩いたためか、昼寝もいいもんだと感じるようになってきた。
カンボジア人に近づいているのかしら?

O、K、私の3人が真面目に昼寝をしている間に、Y、Tの2人はちゃっかり
民家に入り込み、青マンゴのサラダ(ソンターム)を御馳走になって帰ってきた。

予定通りホテルロビーに集合。
こんなにキチンと時間を守って全員が集まるグループは珍しいとガイドの
ルッティが感心する。

午後一番に訪れた場所はロレイ寺院。
現在は水が枯れているが、当時は大貯水池の中央に建設されていたという。
ここの見所は4基の塔の中央に作られた「リンガ」という砂岩で
出来た水を送る長いみぞ。
治水技術の高さを証明しているものだという。

次に訪れたのはプリア・コー。
この遺跡は793年の建造でアンコール遺跡群の中で最古の寺院とか。
寺院の名前のプリア・コーは「聖なる牛」という意味。
建物を守るかの様に3体の牛の石像が印象的であった。

最後に訪れたのがバコン。
この寺院は市街地から外れた位置にある割には、意外と大きな遺跡寺院であった。
寺院は伽藍の周囲に環濠をめぐらし、珍しいピラミッド式の寺院となっており
狭い参道を渡って天界であるピラミッド中心部へ行くという構成になっているという。
ちょうどサンセットの時間であったので、夕日に映えた中央塔が
はっきりと記憶に残っている。

帰り道に、再度、我がままを言って、プサー・ルー(大衆市場)に
立ち寄ってもらった。
ここはシェムリアップ最大のマーケットで、あらゆる店が敷地の中に
ギッシリ並んでいる。
市場独特のあのクサイ臭いが脳裏を離れない。


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